「神道」はある意味、ものすごく極端に言ってしまえば、罪・穢れの「祓い」でございます。
「神主」である以上、この目の前の、しかも自分自身に降りかかって来た罪・穢れを絶対に見過ごす訳には行きません。
相手の方がどういう考えであろうと、 “ 自分の方が青信号だった ” と言っている以上は、 “ こちらが嘘をついている ” と言われているのと同じ事です。
しかも、出張祭での神事の帰り。
白衣・袴に巴紋の羽織を着ています。
明らかに神社の神主だと分かっていての行為でございます。
これは、私だけでなく神社や神様に対しても行為を働いたのと同義でございます。
たとえ、確証できる物が無く真実を明らかにする事は極めて難しいとしても、私自身と神社の名誉と尊厳をかけて、出来得る全ての事をとことんまで追求し、少しでも真実に近づけるよう努力する。
この罪・穢れを出来得る限り祓い清める事が、神主としての使命である。と、神主としての覚悟を決めたのでございます。
その後は、お互いの保険会社から事故担当者がやって来て調書を取ったり、レッカー車が到着して大破した車を運び出す段取りなどが慌ただしく進んで行きます。
私も相手の方ばかりにかまってはおれず、食堂のご主人に連絡先を渡したり、お世話になった記者の方から「何かありましたら、ご連絡を」と名刺を頂いたりと・・・
そうこうしているうち、いつの間にか駆けつけていた相手の女性の旦那さんであろう方から、「今後のお互いのやり取りの為に」とそれぞれの名刺を交換しました。
見ると、某大学大学院 看護学研究科 誰某
名前を見て分かりましたが、どうやら外国の方のようです。
しかもこの大学は、確か4年ほど前になるでしょうか、大学の蔵書約3万8,000冊を焼却してしまうというニュースが全国的に取り上げられ、文字通り大炎上してしまったという・・・あの大学ではありませんか。
当時の学生さんが巫女のアルバイトとしてお勤め頂いておりましたが、自分の通う大学でこの様な事があり「情けない。」と嘆いていた事を思い出しました。
今回の件で、私の中ではもう「不信」でしかなくなってしまいました。
さて、これからどうしたものか。
やるべき事はそう、このまま物損事故として処理をされてしまえば、お互いの話し合い(示談)で、歪なまま無理やりに解決されてしまいかねません。
正しい方が泣き寝入りする様な、うやむやな形のままに解決させるのではなく、先ずは病院の診断を受けて「診断書」を貰い、警察へ提出して人身事故へと切り替えてもらい、そして警察の介入を以って徹底的に捜査して貰わなければなりません。
ひと通りの処理が済んで神社へと帰ってきた後、すぐさま近くの病院へと向かいました。
『神主の体験』その⑤ ~ 診断書と実証実験 ~ へと続きます・・・