当宮で現在、無償配布させて頂いております「アマビエ様の姿絵」のお礼として、とってもかわいらしいお菓子を頂きました。
江戸時代後期、肥後の国(熊本)の瓦版に出版された「アマビエ」
この度の新型コロナウィルス感染症の世界的なパンデミックにより、様々な場面で自粛を余儀なくされ、あらゆるイベントの休止や学校の休校措置といった、今まで経験したことのない鬱屈とした社会情勢が長期に亘り、日常生活の大きな変容を求められました。
そんな中、全国各地の神社では感染症の早期終息を願って祈願祭が斎行され、神職はもとより氏子総代、崇敬者に至るまで「報本反始(ほうほんはんし)」の気持ちを以って御祭神の恩頼を戴奉して参りました。
同時に “ 藁にもすがるような思い ” からか「これより疫病が流行する。早々に私の姿絵を人々に見せよ。」と予言めいたことを告げた「アマビエ」なる妖怪が、ネットの社会で脚光を浴び、瞬く間に拡散され始めました。
緊急事態宣言が発令されてからは、更なる自粛要請が進む中、テレビ番組や新聞といったマスコミでも報道され、一挙に世間に広く知られることとなり、ある神社では疫病退散の護符やアマビエの姿絵を附した御朱印を授与するなどの動きが見られるようになり、世間の注目を集めました。
そのような神社界での動向については、早期終息祈願祭と同様に、各地の神社の活動として神社業界に関する専門紙である「神社新報」にも肯定的な内容で多くの記事が紹介されています。
これは、わたくし個人としては大変興味深い現象だと思っております。
何故なら、ことオカルト的、まじない的、スピリチュアル的な事柄に関しては、忌避する傾向にある神社界において、今回のこの言わば「妖怪」については、すんなりと寛容に受け入れられているからです。
1つには、その出自が公的資料とも言える江戸時代の役人自らが記録したとされている瓦版(京都大学所有、京都大学附属図書館収蔵)である。という事は言えるのかもしれません。
が、私が思うにはやはり、そういった “ 事実 ” よりもどちらかと言えば “ 心情的 ” な事。
即ち、あまりにも多くの人々が共感し、賛同し、欲しているという事。そこに救いを求めている。実際に鬱屈した心の癒しや支えになっているという事実。もはや拝跪の対象となりつつある。という事。
私はそこに、大変興味深いものを感じ得ずには居られません。
以前にもこのブログの中で綴らせて頂いた事がありますが、これは形は現代に沿っているとは言え、やはり “ 信仰めいたものの芽生え ” のようなものを目撃しているのではないか?という思いがあるのです。
これはオカルト的、まじない的、スピリチュアル的な事とは対義であります。
何事にも必ず “ はじめ ” というものがある訳で、今現在熱心に手を合わせている御祭神様にも信仰される “ はじまり ” はあったはずでございます。
そしてその “ ささやかな信仰めいたもの ” は神社界でも柔軟な心で受け入れられ、寛容に認められているからこその今回の現象なのだと私は考えております。
当宮では、その様な信念をもってこの動向に賛同し、“ ささやかな信仰めいたものの始まり ” を応援する気持ちも添えて「アマビエ様の姿絵」を制作して無償配布をさせて頂いております。
権禰宜H